京急の「ドレミファインバータ」、一つの名物が消えゆく。

京急の「ドレミファインバータ」

電車が動き出すとき、床下から不思議な音階が聞こえてくる。「ファ〜ソラシ、ドレミファ〜」。音階の正体は車両に搭載されたインバータが発するノイズだ。インバータとは周波数を自由に設定した交流電流を作るための装置のこと。省エネと乗り心地の良さのために取り付けられているものだ。東京と三浦半島をつなぐ京浜急行電鉄では平成10年に投入した2100形電車と、平成14年の新1000形電車にドイツのシーマンス社製のインバータを導入。その騒音が電子楽器のような音階を奏でることから「音がかわいい」と、「ドレミファインバータ」の通称で広く知られ、その車両は「歌う電車」と呼ばれ、乗客に親しまれている。

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ちなみに音階は「ド・レ・ミ・ファ」ではなく、「ファ・ソ・ラ・シ・ド・レ・ミ・ファ・ソ」が一番近いとか。1000形は都営地下鉄浅草線(泉岳寺〜押上)、京成線(押上〜京成佐倉)、北総線(京成高砂〜印旛日本医大)にも乗り入れており、千葉県でも見かけることができる。デビューから10年以上を経て鉄道ファンにはおなじみの音だが、この不思議な音階が間もなく聞けなくなる。装置の劣化により、メンテナンスや部品確保の問題から日本製インバータへの交換が進んでいるからだ。沿線の名物になり、全国的な知名度を誇っていただけに惜しむ声は多いが、これも時代の移り変わりの一つ。ならば、今のうちに「歌う電車」に乗るにはどうすればよいかだが、外観では判別できず、狙って乗り込むことはほぼ不可能とのこと。運が良ければ、片側に扉が2つある2100形の快特電車では1時間あたり1本の確率でめぐり会える可能性があるらしい。もし運良く歌が聞こえてきたら、変わりゆく時代に思いをはせつつ、じっくりと耳を澄ませてみよう。

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